午後の光は、朝よりも少し重い。
肩にかけたバッグが、その重さを静かに受け止めている。
革の表面に、やわらかい日差しが落ちる。
使い込んだ跡が、淡い艶となって浮かび上がる。
持ち手を握り直す。
手のひらに伝わる感触は、朝よりも体温を含んでいる。
カフェの扉を押すと、バッグがわずかに揺れる。
中で鍵が触れ合う、小さな音。
それだけで、今日という日が確かに進んでいるとわかる。
椅子の横にそっと置く。
光が斜めに差し込み、革の縁取りをやさしくなぞる。
影が床に落ち、その輪郭が午後の時間を描く。
バッグは語らない。
けれど、毎日の移動や迷いを黙って抱えてくれる。
ポケットの中の小さな紙切れも、使いかけのペンも、
すべてを飲み込んで、形を崩さない。
外へ出ると、日差しは少し傾いている。
肩にかかる重みが、なぜか心地いい。
バッグの午後は、派手じゃない。
ただ、歩くたびに揺れながら、
僕の時間を一緒に運んでくれる。
今日もまた、
この革とともに、静かな通りを抜けていく。
0 件のコメント:
コメントを投稿