昔の服を見ていると、今の服にはない空気を感じることがあります。
流行が古いとか、デザインが少し重たいとか、そういう見方もできます。
でも、それだけでは片づけられない良さがあります。
昔のメンズファッションには、どこか不器用なかっこよさがありました。
今の服のように、軽くて、着やすくて、シンプルで、誰にでも似合いやすい。
そういう便利さは少なかったかもしれません。
けれど、そのぶん服に個性がありました。
ジャケットの肩の形。
デニムの色落ち。
シャツの襟の大きさ。
革靴の少し固そうな雰囲気。
どれも今見ると、少し時代を感じます。
でも、その時代を感じる部分こそが、昔の服の魅力なのだと思います。
昔の服は、今ほど完璧に整っていなかった気がします。
少し野暮ったかったり、少し大きかったり、少し重たかったりする。
けれど、その余白の中に、人の生活感がありました。
服を着ている人の背中や、歩き方や、その時代の空気まで見えるような気がします。
今の服は、とても洗練されています。
無駄がなくて、清潔感があって、写真にも映えやすい。
それはそれで、今の時代の良さです。
でも昔の服には、少しだけ時間がゆっくり流れているような雰囲気がありました。
服を長く着る。
傷んでも直す。
色が落ちても、それを味として楽しむ。
そういう感覚が、服の中に残っている気がします。
特にメンズファッションは、古いものほど渋さが出ることがあります。
新品のきれいさよりも、少し着込まれたジャケット。
新品の白さよりも、少しくたびれたシャツ。
ピカピカの靴よりも、手入れされながら長く履かれた革靴。
そういうものには、ただの服以上の雰囲気があります。
昔の服が全部よかったわけではありません。
今見ると合わせにくいものもあります。
重くて動きにくいものもあります。
時代に合わないものも、もちろんあります。
それでも、昔の服には昔の良さがあった。
そう思うのです。
流行はどんどん変わります。
新しい服は、次々に出てきます。
けれど、昔の服を見たときに感じる懐かしさや渋さは、簡単には消えません。
それは、服そのものだけではなく、その時代を生きていた人たちの空気まで残っているからかもしれません。
メンズファッションは、ただ新しければいいというものでもありません。
少し古いものの中に、今だからこそ見えるかっこよさがあります。
昔の服には、昔の良さがあった。
そして今の服にも、今の良さがあります。
大事なのは、どちらが上かではなく、自分が着ていて少し気分が上がるかどうか。
昔の服を眺めながら、そんなことを思いました。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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