2026年6月8日月曜日

昔のメンズファッションを思い出す

昔のメンズファッションを思い出すと、服そのものよりも、その時代の空気まで一緒に浮かんでくる。

今より少し不器用で、今より少し背伸びをしていて、それでもその時の自分には、それがいちばん格好よく見えていた。

大きめのジャケット。

少し太めのジーンズ。

色落ちしたデニム。

やたらと存在感のあるベルト。

靴も、今見ると少し重たく感じるようなものを、当時は当然のように履いていた。

鏡の前で何度も服を合わせて、これで大丈夫だろうかと考えた時間も、今となっては懐かしい。

流行に乗っていたつもりでも、あとから写真を見ると、少し笑ってしまうことがある。

でも、その少し恥ずかしい感じも含めて、昔のファッションにはちゃんと味がある。

服は、その時代の自分をそのまま残してくれる。

どんな音楽を聴いていたのか。

どんな街を歩いていたのか。

誰に会いに行こうとしていたのか。

そんなことまで、服の記憶と一緒によみがえってくる。

昔は今ほど情報が多くなかったぶん、雑誌や街で見かけた誰かの服装が、とても大きな影響を持っていた。

あの人みたいになりたい。

あの雰囲気を少し真似してみたい。

そう思って選んだ一着には、今の服とは違う熱があったように思う。

もちろん、今のメンズファッションは洗練されている。

シンプルで、清潔感があって、着回しやすくて、無理がない。

それはそれで、とてもいい。

けれど昔の服には、少し無茶をしている感じがあった。

似合うかどうかより、これを着てみたいという気持ちが先に立っていた。

その勢いが、若さだったのかもしれない。

今なら選ばない色。

今なら少し照れる形。

今なら着こなせないと思う組み合わせ。

それでも当時は、それを着て外へ出るだけで、少し自分が変わったような気がしていた。

ファッションは、ただの布ではない。

その時の気分や、憧れや、少しの見栄や、自信のなさまで包んでくれるものだと思う。

だから昔のメンズファッションを思い出すと、懐かしさと同時に、少しだけ胸があたたかくなる。

あの頃の服は、今の自分にはもう似合わないかもしれない。

でも、あの頃の自分には、たしかに必要な服だった。

流行は過ぎていく。

写真の中の服も、少しずつ古くなっていく。

それでも、その服を選んだ日の気持ちは、完全には消えない。

昔のメンズファッションを思い出す午後。

少し笑いながら、少し懐かしみながら、あの頃の自分にこう言いたくなる。

それなりに、ちゃんと格好つけていたな。

そして、その格好つけ方も、悪くなかったなと思う。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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